気になるバイクをピックアップ!vol.19【2/2】
こんにちは。カイザーベルクびわ湖 支配人の岸です。
今日は先日に引き続き初代H2のマッハ伝説の残りの疑問③と④からスタートです。
1971年の発表当時、世界最速を目指し、開発された750SSはまさしく世界最速のバイクでしたが、特に驚かれたのはその驚くべき加速性能!
0→400mの加速タイムが12秒6!
この12秒という数字を現在私たちが知っている速いと言われている乗り物でいうと…
最強2ストレプリカの呼び声高い1988年式NSR250が12秒2。
45年前でこのタイムが如何に異常な性能なのかお判り頂けるかと思います。
ただ、当時はこれだけの性能を支えるブレーキが1ポット片押しピストンのシングルディスクにドラムブレーキの組み合わせなので③止まらないは正解なのですが、ある意味エンジンの性能が高性能すぎるので仕方がないところがあります。
じゃあ④の曲がらないはなぜ?となるのですが、これは曲がらないのではなく直進安定性の強い19インチタイヤをフロントに装着しているからでハイパワーなマシンだからこその設定だと思うので半分正解という所でしょうか?
とマッハ伝説を語ったところで、次はエンジンのお話。
始動直後のエンジン音は独特の早いカンカンカン音がします。
これは「スラップ音」と呼ばれるもので空冷の2ストのビックエンジンは焼き付きを防止する為に、シリンダーとピストンのクリアランスを大きくとってあるために起きる打音で、暖まればクリアランスが無くなるので収まります。
またエンジンはキック始動ですが、重くてキック1発でかかることはまずありません。
それはなぜかと言うと、1シリンダーの排気量が大きいのと、2サイクル車のクランクケースはそれぞれが密閉されており内部の空気と混合気が入れ替わるまではエンジン点火しないので最低2~3回キックしないといけないのです。
しばらく乗っていなければもっと時間がかかります(笑)
そして2ストロークの旧車というと、心配なのは焼き付き。
上の写真の左側がオイルポンプなのですが、オイルラインの取り回しの関係から逆シリンダー側の圧力が低くなりがち…
定期的なワイヤー調整で吐出量を多目になるように合わしたり日頃のメンテナナンスが欠かせません。
また急加速からのアクセルオフやエンジンブレーキは厳禁!オイルの吐出量が減り焼きつく可能性があります。
なので今回のお客様もエンジンブレーキの際には、焼き付き防止でチョークレバー(上の写真Sのレバー)を引き、かつ燃料タンクにも2サイクルオイルを混ぜ対策されておられました。
次にメーター周り…
国内モデルということもありメーターは㎞/h表示で220㎞/hのフルスケールメーター!
タコメータの4,000rpmの場所にはインジケーターランプ、その下の白い線のように見えるのは新車時の回転数制限(600kmまでは4,000rpm、1,600kmまでは6,000rpm)になっています。
次にウインカー。
国内仕様なのでショートステータイプのオリジナル。
このお客様はウィンカーのレンズまわりをテーピングされていました(撮影の為にわざわざ剥がして下さいました、エンジンの振動でレンズが割れてしまうそうです)。
エンジンはフレームにダイレクトに取り付けられていますし、バランサーなども無いので仕方ないのでしょうが大変ですね。
このように40年以上前の旧車を維持して乗るには知識や手間もかかりますし部品の調達も大変ですが、それでも現代にない個性とスタイル…そして独特の雰囲気があるのが魅力です。
ちなみにお帰りになられる際はもちろん、メンバーの方に迷惑にならないよう隊列の一番後ろにつき、独特の排気音を奏でながら飛行機雲(白煙)を引きお帰りになられました(笑)
最後に取材にご協力頂いた常連様、とても良いものを見せて頂きましてありがとうございました。
今回はここまで!次回もお楽しみに。