気になるバイクをピックアップ!vol.26【2/2】
みなさんこんにちは。カイザーベルクびわ湖の脇阪です。
それでは「気になるバイクをピックアップ!vol.26」H2 SX (SE)篇の後半、メカニズム篇に参ります。
カワサキH2 SXは同じカワサキが出したスーパーチャージドエンジン搭載のプレミアムスーパースポーツH2をベースにして作られたスポーツツアラーです。
スーパーチャージドエンジンや、トラス構造フレーム、片持ちスイングアームといったカワサキバイク初の要素はそのまま踏襲しながら、スポーツツアラーとしての適性を求めて日常域から高速ツーリングまで幅広く対応できるようにリファインしたのが、このH2 SXです。
前回は外装篇として外観にスポットを当てましたが、今回はエンジンや各種機能といったところにスポットを当てるメカニズム篇です。
まずはメーターからです。
上位グレードのSEには専用デザインのカラー液晶パネルを装備したメーターが搭載されています。
現在はモノクロ状態ではありますが、好みに応じてもっとカラフルな表示にすることもできます。
スピード・時計・オド・ツイントリップ・燃料・水温・外気温・燃費・ギアポジションといった項目の他、トラクションコントロールのレベル・パワーモード・そしてスーパーチャージャー搭載車特有のブースト(過給圧)も表示することが可能となっています。
さらにはH2 SXに搭載された6軸IMU(慣性計測装置)を生かし、なんとバンク角までも表示することができます。
またSEのこのカラー液晶メーターであれば、画面左側にバイクのイラストを表示し、そこに加減速の度合いや車体の傾き具合をグラフィックで表示するということもできます。
ZX-14Rに比べてメーターの大きさは小さくなりましたが、よりハイテクで多機能になったといえます。
ちなみに標準グレードのH2 SXだと、2018年モデル以前のH2に準じたデザインの反転モノクロ液晶メーターを装備しています。
このカラー液晶メーターのような表示モード切替は付いていませんが、同様に車体のバンク角もやブースト圧も含めた多数の項目を表示することができます。
続いては左スイッチボックスです。
トラクションコントロールやパワーモードの切り替えスイッチ、メーターの表示内容を変えるためのボタン、さらにクルーズコントロール用のスイッチも一通りついております。
多機能すぎて覚えるまでにはちょっと時間がかかりそうです。
ちなみにH2 SX SEではグリップヒーターも標準装備です。標準グレードのH2 SXではオプションで別途購入で取り付けることができます。
そしてH2同様、最もトピックとなるエンジンです。
H2と同じ998ccの水冷並列4気筒DOHC4バルブスーパーチャージドエンジンというのは変わりませんが、H2 SXのキャラクターに合わせ、スーパーチャージャーも含めたエンジン内部が大きく変更されています。
最高出力は200ps/11000rpm・最大トルクは14.0kg-m/9500rpmとなっており、2018年型のH2の205ps(2019年型H2は231ps)に比べて数値自体は若干低くなっていますが、H2のものより低速トルクが強く、ツーリング時によくある発進と停止の繰り返しがだいぶ楽になっています。
とはいえ、そもそもの話200psという最高出力自体途方もなく高いもので、それに加えて低速時の扱いやすさまで備えたH2 SXはまさに鬼に金棒状態です。
なお、H2 SXの装備重量は約260kgと、H2よりも20kgほど重く、ZX-14Rよりも10kgほど軽くなっています。
ちなみに標準グレードH2 SXと上級グレードH2 SX SEでのエンジンの違いはありません。
もちろん、H2同様スーパーチャージャーのブーストを掛けて加速すればエンジンから「キィイイイイ――――」という吸気音が聞こえてきますし、そこからスロットルを閉じれば「パシィー」と余剰の圧縮空気を逃すためのブローオフバルブの作動音も聞こえます。
余談ですが上級グレードSEにはアップ/ダウン共に対応のクイックシフターが標準装備されています。
左サイド前方の写真です。
通常はウインカーがありそうな位置にある透明の部分は何かというと、これはいわゆる「コーナリングライト」というものであって、バイクが傾いたらその方向を照らして夜間の視界を確保するというハイテクアイテムです。
H2 SX SEの専用装備であるこれは左右にそれぞれ縦3列のライトが内蔵されており、車体の傾き具合に応じて順次点灯していくものだそうです。
バイクの動きに合わせて自動的に作動するというのは、6軸IMUを搭載したH2 SXならではの機能といえるでしょう。
ちなみに標準グレードのH2 SXだとこの位置はカバーでふさがれています。
最後に、パニアケースを開けた状態の写真です。パニアケースはいずれのグレードでもオプション扱いです。
アフターパーツのバイク用ハードケースでおなじみのGIVIが作ったH2 SX用パニアケースは左右共に28リッターの容量を確保し、高い利便性を誇るのが特徴です。
また、取付けに専用のステーやフレームが必要といったことがなく、取り外してもすっきりした外観を保てるのが美点です。
長距離ツーリングを想定して作られたH2 SXでは必須のアイテムといってもいいでしょう。
さて、「気になるバイクをピックアップ!vol.26」カワサキH2 SX (SE)編はいかがでしたでしょうか。
元々のコンセプトが「H2のスーパーチャージドエンジンをより多くの人にいろんなところで楽しんでもらう」というものであるH2 SXは、価格面や乗り味においてもそのコンセプトを忠実に追い求められていると言えると思います。
2019年ではこのH2 SX SEをベースにして新開発のリアルタイム電子制御サスペンション「KECS」とそれも含めた電子制御システムを統括してセッティングできるモード、そしてブレンボ製フロントブレーキキャリパーに、スマホ連携機能を備えたカラー液晶メーターを装備した「H2 SX SE+」も登場します。
カワサキが技術の粋を集結して作り上げたH2の性能を日常的な範囲で楽しめるように作られたH2 SX、わたしもぜひ一度所有してこの独特のスーパーチャージドスポーツバイクの世界を体感してみたいものです。