気になるバイクをピックアップ!番外編 ~新名神・鈴鹿PA~【1/2】
こんにちは。カイザーベルクびわ湖 支配人の岸です。
今日は久々の「気になるバイクをピックアップ!番外編」をお届けします♪
今回ご紹介するのは、鈴鹿PAに新たに展示されたレーシングマシン!
今年は昨年展示されていたRVF750(1992)・CBR954RR(2003)に続き、新しく24時間耐久レースマシンが2台展示されていましたのでご紹介します。
1台目は2018年ル・マン24時間優勝マシンのCBR1000RR(2016-SC59E)EWC-TSR仕様。
こちらのマシンは、2016年ル・マン24時間耐久レースで初参戦で3位表彰台という好成績の獲得から3度目の挑戦で2018年に「F.C.C TSR Honda France」へと体制を一新したチームで挑戦し、日本チーム史上初となる優勝を果たし今後レジェンドバイクと呼ばれるであろう記念すべき優勝マシン。
このル・マン24時間耐久レースというと6月に開催される4輪のレースが有名ですが、1978年からは2輪のル・マン24時間耐久レースが毎年春または秋に開催されています。
夏の鈴鹿8耐もこちらの耐久レースがルーツ。
特に耐久レース文化が根付く地元フランスライダー達には憧れのレースで、夜間の冷え込みが厳しいル・マンを24時間もの間 僅か3人のライダーで走り切らなければならず、1時間に1回のペースでピットインがあるのでメカニック・スタッフも不眠不休で戦う過酷極まりないレースなのです。
FIM世界耐久選手権の中でも、ル・マンは他の耐久レースより多くのポイントを獲得できるチャンスがあるので重要な戦いと位置づけられるレースで、ル・マン24時間耐久レースで勝つためにはフランス人ライダーを1人は起用するのがセオリーになっているほど。
2018年ル・マン24時間耐久レースに使用されたのは、CBR1000RR(2016-SC59E)EWC-TSR仕様。
こちらはホンダのワークス仕様ではなく、TSR独自で製作されたプライベーター仕様のマシン。
※鈴鹿8耐ではホンダのワークスマシンを貸与され、それに見合った実績のライダーが採用されて戦うのですが、それ以外のFIM世界耐久選手権ではプライベーター仕様のCBRを使用しています。
参戦したライダーはフレディ・フォーレイ(フランス)、アラン・テシェ(フランス)、ジョジュ・フック(オーストラリア)の3人。
レース序盤から上位を快走し、6時間の時点で2位。
前年の優勝チーム「GMT94 YAMAHA(ヤマハ)」がトップを快走する中、後ろからプレッシャーをかけるレース展開。
そしてアクシデントが発生!
トップを快走していた「GMT94 YAMAHA」が18時間を前に転倒してクラッシュ。
ここで「F.C.CTSR Honda France」がトップに浮上するも、そこはやはり何が起きるかわからない耐久レース。
順調に周回を重ねていた「F.C.CTSR Honda France」チームにも、フロントスクリーンが割れるトラブルが発生。
しかし迅速な交換作業でタイムロスを最小限で切り抜け、そのままフィニッシュ。
蓋を開けてみれば2位以下に2周の差をつけて、40年の歴史を持つル・マン24時間耐久レースで日本チーム史上初となる優勝!
というのが、このバイクの持つストーリーです。
それではレジェンドバイクの現車をチェックしていきましょう!
ベースとなったのは2008年に大変貌を遂げてデビューした3代目(2008-2011)/4代目(2012-2016)となるSC59型CBR1000RRの2016年モデル。
空力性能・軽量化・マスの集中化を求めてセンターアップマフラーからショートマフラー、そしてショートテールに丸みを帯びた流麗なアッパーカウルを持つ現代SSに繋がるトレンドの先駆け的なモデル。
デジタルバーグラフのタコメーターやヘッドライトの意匠から、後期型と一般に呼ばれる4代目モデルがベースにとなっているのがわかります。
まずは燃料タンク。
こちら耐久マシンでは御馴染みのクイックチャージ仕様になっています。
(クイックチャージの詳細はこちら https://www.redbaron-kaiserberg.jp/biwako/blog/2019/07/pa-3.html)
耐久レーサーということもあり外見はノーマルに見えますが、丸いヘッドライトはノーマルとは別物で強力なものに変更されていました。
こちらが上方からの写真。
昨年ご紹介した仮面ライダー555(ファイズ)Honda CBR954RR(2003)と比べると13年でかなりコンパクトになりましたね。
最高出力も大幅に上がり推定200馬力以上!
13年前に比べて50馬力以上も馬力が向上していることになります。
その他の外から見えるメーター周り・ステップ周りなどはレースに必要な少変更程度に見えます。
注目するのは足回り!
ベースモデルは12本スポークホイール・フロントフォークはBPF(ビックピストンフォーク)・リアサスはSHOWAバランスフリー式サスなのですが、レーシングフォーク・競技用ブレーキキャリパー・マルケジーニホイールに変更され、全くの別物。
この部分が耐久レーサーならではの部分で、市販車とは大きく異なります。
フロントホイールは交換の際、インパクトレンチでシャフトごと抜き取る仕組みとなっており、また2枚目の写真を見ていただくとわかりやすいですが、タイヤを入れやすくするカラーの部分は左右でアルマイトの色を青と赤で色分けしています。
これは単純にお洒落で色を変えている訳ではなく、あわただしく行われるピット作業の課程でホイールの左右を間違えないようにするための配慮。
こういった耐久レースマシンならではの工夫もあり、マシンがピットに戻ってライダーがマシンから降りた瞬間に交換が終わってしまうのです。
ライダー交代⇒前後ジャッキアップ⇒タイヤ交換⇒クイックチャージで燃料補給(約4秒)でピットにかかる時間は約15秒!
クルマのレース感覚で見ていると、かなり早く感じます。
これが24時間耐久レースという長丁場な戦いとなると、ピットイン回数が多く僅かなタイムロスで塵も積もればで順位が大幅に変わってしまいます。
と、レースマシンにはこのような感じで市販車には無い色々なレースに勝つための装備があります。
今回は耐久マシンならではの装備をクイズ形式でご紹介したいと思います。
初級編の第1問!
カウルに付いているこれは何でしょう?
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答えは「クイックファスナー」
こちらはカウルを外す・または交換する際に手早く脱着するためのネジ。
工具を使用せず輪っかの部分を1/4回転ひねるだけでネジが外れるという代物です。
レースではマシントラブルによるカウルの脱着を伴う整備や転倒によるカウルの破損がつきもの。
そういった際に、短い時間で脱着を可能にする時短アイテムです。
こちらのクイックファスナーは一部市販車にも採用されており、有名どころで言えばミニバイクレースなどでも活躍しているNSR50の右側カウルに採用されています。
中級編の第2問!
スイングアームについているこの黒いギザギザのパーツは何でしょう?
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答えは「ドライブチェーンフック」
ホイールごと外してタイヤ交換をするレースマシンで困るのはドライブチェーン。
ドライブチェーンはマシン側に残るので置き場所に困ります。
通常のタイヤ交換ではドライブチェーンが外れ防止・汚れ防止のため、スイングアームにウエスを置いて横にどけたり、下にウエスを敷いてチェーンを垂らして置いておくのですが、一刻を争うピット作業では確実に早くタイヤ交換をしなければなりません。
そこでドライブチェーンをホイールごとのタイヤ交換時に、このギザギザ(スプロケットの歯の形状)にひっかけておきタイヤ交換時に邪魔にならないようにするためのアイテムです。
耐久レースでは必需品のアイテムで市販品も発売されています。
上級編の第3問!
近年の耐久マシンのカウル左側下にはこのような周りを樹脂で覆われたテーパー状の穴が開いています。
さてこれは何に使うものでしょうか?
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答えは「フロントジャッキ差し込み口」
ピットインと同時にワンアクションでリフトアップできる油圧式ジャッキをこの穴に差し込み、フロントタイヤを交換します。
これはなかなか知っている人が少なく、ほとんどの人は「空気の取り込み口かな?」と答えてしまいます。
テーパーになっているのはジャッキを差し込みしやすくするためのガイドで、周りの樹脂は傷付き防止の役割をしています。
上記の説明が非常にわかりやすく紹介された15秒で前後タイヤ交換・燃料給油が完了してしまうピットワーク練習風景のYoutube動画がありましたのでリンクを貼っておきますね。
【F.C.CTSR 鈴鹿8耐ピットワーク練習:https://www.youtube.com/watch?v=QVv-jJSWaaY】
みなさん3問全部わかりましたか?
今回はここまで!
次回【2/2】では、もう1台の耐久マシンをご紹介しますのでお楽しみに。