気になるバイクをピックアップ!番外編 ~鈴鹿PA~ (グルメ探訪 第77回)
こんにちは。カイザーベルクびわ湖 支配人の岸です。
もうすぐ8耐ですね。今日は鈴鹿PAに8耐マシンの展示が始まったということで往年の8耐マシンを見に行ってきましたのでご紹介します♪
7月10日から始まった8耐マシン展示をいつ行くか...今年の8耐が始まる直前の定休日は混みそうということで3連休前の公休日に行くことにしました。
午前中に私事を済ませ、昼過ぎに土山ICから新名神を使って鈴鹿PAへ向かいます。
もし時間が間に合えばスマートETCがあるので市街地を抜けて鈴鹿市役所で往年の名車「S600」の展示が始まっているとのことなので一緒に見学する予定で出発!
ここ最近は東海地区に向かうたびに鈴鹿PAに足を運んでいました。
なぜなら8耐の時期になると8耐マシン展示が始まるから...
少し前に訪れた際の展示はF1で活躍したゲルハルト・ベルガーが搭乗していた'90 MP4/5B(外装が外された状態)でした。
そして7月4日にもうそろそろ8耐マシンにお目にかかれるのではと期待して立寄りましたが...
まさかの展示車両無し(涙)
鈴鹿PAができてから足しげく通っていますが展示車両が無いのは初めてです。
そんなこんなでずーっと8耐マシン展示を待っていました。
数日後...
私の世代からすると「マジか!」という憧れの8耐マシンが展示が始まったという情報をネットで知って、いつも以上にワクワクして鈴鹿PAに到着です。
ではさっそく...今日のご飯から(笑)
毎回こちらでは三重の名物を食べることができるので朝ご飯を我慢してました。
フードコートには啜乱会さんが出店しており、今回はまだ食べたことのないピリ辛味噌ラーメンと三重県津市の名物「津ぎょうざ」のセットをいただくことにしました。
ラーメンは期待を裏切らない辛みが効いた味噌スープと麺が絡み美味しい1杯。
そして写真を見てもらえればわかると思いますがご当地グルメ「津ぎょうざ」は特大の揚げぎょうざで1985年頃の小学校給食が発祥のご当地グルメ。
以前レッドバロン伊勢で働いていたこともあってボリューム満点のぎょうざを久しぶりに食べたくなりました...
パリッとしたぎょうざの皮とギッシリ詰まった餡がたまりません!
見た目通り食べ応えと満足感がありお腹いっぱい。
「ごちそうさまでした♡」
こちらの「津ぎょうざ」は鈴鹿PA以外では伊勢自動車道のSAや津市内(約20店舗)で食べることができますので三重県へツーリングに行かれた際に食べてみられてはいかがでしょうか。
ということで...
お腹も満たされたので今日の目的である鈴鹿PA「PIT SUZUKA」に展示されている2台のレジェンドマシンのところへ...
今回は世界的二輪チューナー「ヨシムラ」の創業70周年を記念して「ヨシムラ」と「モリワキ」が合作した「'83 ヨシムラ・モリワキ GSX1000」と「'87 ヨシムラ・スズキ GSX-R750」という8耐の歴史に名を刻むレジェンド鈴鹿8耐マシン2台が展示されるというまたとない機会。
それではさっそく見てきましょう!
●'83 ヨシムラ・モリワキGSX1000(ヨシムラGSX)
こちらのマシンはスズキ GSX1000S刀のエンジンをベースにPOP吉村の手によりチューニングされたDOHC4気筒エンジンをモリワキが製作したアルミダブルクレードルに搭載した夢の合作マシン。
搭乗するライダーは'80年の鈴鹿8耐でヨシムラのマシンを駆り優勝したグレーム・クロスビーとロブ・フィリス。
予選では見事にポールポジションを獲得するも決勝ではエンジントラブルで惜しくも13位に終わってしまいました。
まず最初に一目みて分かるのがフロントフォークのキャスター(横から見た時の傾き)が寝ておりモリワキ流。これは森脇氏の理論でフロントに多くの荷重をかけずリア乗りをするようにセッティングされているため。
カウルはスラントした顔で角型ヘッドランプを採用した8耐仕様ではなく、スプリント用仕様のモリワキカウルに変更されていました。
フロントフォークはカヤバ製でフォーク上部はプリロード調整とエアバルブがついており、タイヤは交換時の作業性やモリワキフレームの関係で当時一般的だった16インチではなく18インチタイヤにマフラーは4into1の手曲げチタンエキゾーストが奢られた「ヨシムラサイクロン」。
またフロントカウルの中と下には10段のオイルクーラーが装備されていました。収まりの良さそうなシートに大きなテールカウル、またカウルから覗く、ミクニ製VM33キャブレターにファンネル...今となってはなかなかお目にかかれない懐かしいスタイル。
エンジンは1,000ccまでというTT-F1規則によりGSX1000S刀ベース。
あちらこちらに軽量化が施された外観を持つこのエンジンは立ち上がり重視のセッティング、またカムは鈴鹿専用で150PS出たそうです。後ろから見るとリアショックは森脇氏の理論でタイヤの滑り出しを感じやすいようにと2本ショックが採用されています。
ちなみに当時は前後タイヤはダンロップのバイアスタイヤでしたが、展示車両はブリジストンのラジアルタイヤに換装されていました
車両を細かくみていると当時のものと思われる色褪せた車検合格ステッカーと思われるものが貼られているタンクやクランクに誇らしく存在感を放つ「ヨシムラ」ロゴ...独特の美しい輝きを放つアルミダブルクレードル・補強の入ったアルミスイングアームと80年代当時のマシンの迫力を感じることができました。たびたび当ブログでは8耐マシンをご紹介してきましたが現代の8耐マシンとは違い、80年代の8耐マシンは全てがアナログ。
現代のようにコンピューターによる設計・コンピューター上でのシミュレーションなどが難しかった時代に職人の知見と技術によってチューニングされたエンジンと軽く丈夫なフレームと創意工夫で鈴鹿8耐マシンが仕上げられており学生時代に工学を学んでいた私としては当時の情熱を感じられる見ごたえのある車両でした。
●'87 ヨシムラ・スズキ GSX-R750
'87は2台体制で挑んだヨシムラ。
今回展示されていた♯12のGSX-R750は世界ロードレース選手権最高峰のGP500クラスで後年に世界チャンピオンに輝くレジェンドライダー「ケビン・シュワンツ」と国内のエースライダー「大島行弥」が組んで'87鈴鹿8耐に挑んだ車両で決勝ではレース序盤にエンジントラブルでリタイアとなりました。
もう1台のセカンドチーム♯45のGSX-R750(ギャリー・グッドフェロー・高吉克朗組)はメーカーチームの強豪を押しのけてトップに...3度目の鈴鹿8耐制覇に王手がかかったラスト5分でまさかの周回遅れの車両と接触し転倒!
しかし再スタートを切り2位を獲得しました。最後の最後に起きた衝撃的な結末は今なお語り継がれる鈴鹿8耐になりました。
上記でご紹介した'83 ヨシムラ・モリワキGSX1000から4年後の8耐マシン。
バイクブーム真っ只中で毎年多くの新型バイクが発売されて新技術が続々と発表されることで昨年モデルが一気に時代遅れになってしまう、そんなバイクが一気に進化した時期の8耐マシン!
外観は現在販売されているスーパースポーツの礎となる形になってきました...
私は当時は中学生でこのころのマシンをみてバイクに強く乗りたいと思い、高校時代は3ナイ運動で免許が取れず、大学生になりバイクデビューしました。
こちらの車両は当時憧れていた「シュワンツさま♡」と呼ぶ「ケビン・シュワンツ」が駆った当時のマシンが見れるのですから感激もひとしおです。
それでは車両をみていきましょう。
こちらは全日本TT-F1で3連覇を果たした鈴鹿8耐仕様。
ベースは'84 GSX-R750をショートストローク化と空油冷方式に変更したもので現在の全日本選手権や世界選手権のスーパーバイクとは違い、TT-F1クラスはエンジンの改造自由度が高く車体に関しても完全新造もOKだったこともあり市販車とは比べ物にならない怪物マシンに仕上がっています。
フレームはスズキとの共同開発ということで細部に同世代のワークスGPマシンRGV-Γと共通のパーツをみることができます。
フロントフォークはショーワ製で制動時に過度なノーズダイブを抑えるPDF(アウターチューブ下部にある円筒形のもの)が採用されており、タイヤ交換時にホイールと接触しないようにφ305mmのやや小径ディスクにニッシン製の対向異形4ポッドキャリパーが組み合わされていました。
ステップ周りはアルミ削り出しのステップにローレット加工が施されたシンプルなものが装着されており、マフラーは1-2気筒と3-4気筒のエキパイを高回転型エンジンで不足しがちな低中速トルクを補うチャンバーで連結し、排気順序に従って集合するサイクロン方式を採用したエキゾーストシステム。
キャブレターはメインボアφ40mmのミクニTMがフレームとカウルの隙間から見ることができました。
フロントカウル下にはサブオイルクーラーが装着されておりヘッドライトガードの下には青色のレンズが特徴的なヘッドライトが左側に配置されていました。
世界の24時間レースでは2灯が一般的でしたが、鈴鹿8耐ではレギュレーション上1灯でも良かったのでこのような片目スタイルになっています。
当時の鈴鹿8耐マシンの影響で2灯のレーサーレプリカはゼッケンプレートで片目を隠して1灯にするのが流行っていましたね。
シートは現在のバイクに通ずるセパレートタイプで、レーサーということもあり快適性よりも操作性を重視しているのでクッション性は全く無さそうな超ごく薄の厚みでした...レースが終わったらお尻が3つに割れてそうです(笑)
メーター周りは至ってシンプル。しかしヨシムラの鈴鹿8耐マシンらしくクラッチはパワーレバーを採用し、走行中でもクラッチの遊び調整できるよう一般的な大径のアジャストナットがついており、灯火類のスイッチは市販車と同様に全て左側。右側はデリケートなアクセルワークを邪魔しないためでしょうか...スイッチは一切ありませんでした。
他にも色々あるのですが熱く語りだすともう2記事くらい書けそうな文書量になりそうなので割愛しますが、こちらのマシンを整備士資格を持つ私が見て思ったのは'83 ヨシムラ・モリワキGSX1000に比べてレースに勝つための整備性(脱着しやすい構造・クイックファスナーやピン止めの採用・交換するボルトが外しやすいようにボルト頭が工具を通しやすい方向に向いている・重要な調整部に余計なものを外さずに工具が通せるよう穴が開いている)が向上していると感じられました。
これは思い付きではできないものでマシンの設計時から考えていないとできないものばかり。技術の進化に加えてレースの知見からの設計に整備性まで組み込まれた勝つためのマシンとして進化したことが2台の鈴鹿8耐マシンをみてよくわかりました。
とこのような感じで憧れのシュワンツさまが駆るマシンを楽しんできました。
ついついバイク屋目線・整備士目線で見てしましましたが、ゼッケンナンバーにスポンサーロゴが入ったヨシムラカラーのマシンはカッコいい!
最後に鈴鹿PA名物の「8耐トイレ」も健在していることを確認。
壁面いっぱいの鈴鹿8耐写真・レースのスタート音で気分を盛り上げる音消し・中に入り扉を閉めると現れる名言「NO ATTACK,NO CHANCE」でテンションを上げ、次は鈴鹿市役所で往年の名車「S600」の展示へ...と思ったのですが時計を見たら17:00。
「しまった!テンションが上がりすぎて大幅に予定をオーバーしてるやん」
慌ててスマホで鈴鹿市役所が閉まる時間を確認すると17:15。
ナビで確認すると最低30分かかるので間に合いそうにありません(涙)
ということで期間中に間に合えば前回の鈴鹿ツーリングで下見した「カフェカブ スズカ」と合わせてクロスカブで見学に行きたいと思います。
とこのような感じで往年の8耐マシンを楽しんできました。
今年の「コカ・コーラ鈴鹿8時間耐久ロードレース」が7/19(金)~7/21(日)にかけて行われます。今年はどんなドラマが見れるのか、どのチームが優勝するのか楽しみですね。
もし鈴鹿方面に行かれる際は8/30(金)まで展示されているようですので見に行かれてみてはいかがしょうか。