バイクを洗おう!磨こう!
みなさんこんにちは。カイザーベルク御宿・月の沙漠支配人の脇阪です。
今回は、バイクのメンテナンスに関してお伝えします。
流れのいい海辺の道路をバイクで颯爽と走ると気持ちいですよね。
房総半島にはそういった道が多いので、バイクを楽しむにはうってつけの土地です。
当方も海岸線から直線距離で100mもない所にあります。
しかし海の近くにバイクを置いたり、海の近くの道をバイクで走ったりすると決して無視できないのが「潮風」の存在です。
波しぶきなどが強風で巻きあげられ、さらに海からの風に乗って金属に付着すると、すごい勢いで錆びていきます。
そのため私は、風の強い日にバイクで来てくださったお客さんには自宅に戻ったら早めにバイクを洗うことを呼びかけています。
ではここで、実際に海沿いの地域に置き続けて潮風にさらされ続けた私のバイクがどうなったかをご覧ください。
こうなります。
右フロント周りです。
ブレーキローターや各部ボルトといった、塗装されていない金属部分は軒並み錆が出ています。
これは右ステップ付近のマフラーの集合部分です。
私のバイクのマフラーはステンレス製ですが、それでさえ潮風で錆びが発生しています。
これはエンジンのヘッドカバーの部分です。
鉄ではなくアルミ製ですが潮風の影響を受けて腐食が起こり、白い粉の様なものを噴いています。
「錆びたのはお前のバイクが古いからだ」と思う人もいるかもしれません。
ですがこれは言わせてもらいましょう、「新車であろうが旧車であろうが関係ない。潮風の前ではバイクは等しく無力だ」ということを。
現に私がこの前まで乗っていた2020年式のカワサキヴェルシス1000SEも要所要所に錆が出ていました。
特に錆びていたのはブレーキディスクのインナーローターとフォグライトのガードで、共に塗装してある鉄製のパーツでしたが塗装面を侵食して錆が発生していました。
さて前置きが長くなりましたが、実際海沿いを走って潮風が付いた様な状態であればどうするのが一番かというのをご案内しましょう。
まずは多めに水をかけて洗います。
潮風によって付着した塩分を大量の水で落とすのです。
そして台所用などでも構いませんので中性洗剤を多めの水で薄めたせっけん水を洗車用のスポンジにしみこませ、外装などの平たい部分をなでるように洗っていきます。
エンジンなど、機械が入り組んでいる部分は毛が長めのブラシに上記のせっけん水を付けて磨いていきます。
特に入り組んでいる部分には、そういったところを洗う用の柄が長くてブラシが細いタイプのものを使用すると便利です。
また、この様にバイク洗車時は普通のシャワーと高圧ストレート放水を切り替えられるシャワーヘッドがあると、タンクやシートなどの平面以外に凹凸の多い空冷エンジンやエキマニが密集する4気筒エンジンを洗う時に重宝します。
潮風はいたるところに付着しますので、水の出し方を切り替えてしっかり洗い流してください。
また、しっかり洗い流した後はしっかり水切りを行う必要があります。
要らないバスタオルなど大きめのウエスを用意して洗った箇所をしっかり拭いてください。
水が付いたまま放っておくと結局それが原因でまた錆びていきます。
細かい所に入りこんだ水滴を吹き飛ばす高圧エアーを発射できる様なエアーコンプレッサーがあれば鬼に金棒です。
ここからは、実際についた錆を落とすテクニックをご紹介しましょう。
私がよく使用するのは主にこの2つです。
真鍮ブラシ(左)とスチールウール(右)です。
どちらもホームセンターで売られています。
真鍮ブラシは毛先が金属でできた歯ブラシみたいなものです。
頑固な錆でも削り取れますが、反面細かい所の錆は落としづらく、磨くものによっては傷つけることもあるので注意が必要です。
真鍮ブラシで磨くのはブレーキディスクの様な多少線傷がついても問題の無い箇所や、トップの写真の様な茶錆の出たボルト類がいいでしょう。
一方、スチールウールは鍋磨き用として売られているもので十分です。
その名の通り鉄でできた綿みたいなもので、適当な大きさにちぎって錆びた面を磨きます。
一面の大きな錆を落とすのには向きませんが、真鍮ブラシよりも傷がつきにくくかける力も少なくて済みますので、ステンレスの表面や細かい点錆の多い所の使用に適します。
ただし、磨くたびにスチールウールがすり減って細かい金属ゴミが出ますので、作業する環境に注意してください。
粉を噴いた様なアルミ錆もこれで落とすことはできますが、力を入れすぎると地のアルミに傷がつきますので注意してください。
バイクの錆の存在箇所の確認と錆落としをするうえで重要なのが、フロントフォークのインナーチューブ部分を確認することです。
インナーチューブに錆が出ているとフロントフォークのスムーズな動きを阻害したり、錆びたインナーチューブが動いたことでアウターチューブのオイルシールのゴムが傷ついてフォークオイル漏れなんていう事態にもなりかねません。
ここもしっかり真鍮ブラシやスチールウールで錆びを取っておく必要があります。
その時出た錆やスチールウールの粉は必ずきれいに除去しておいてください。
ここでひとつ、私がよくやるテクニックを紹介しましょう。
エンジンガードやエキマニなどのメッキが施されているステンレス部分の錆を落とすとき、私は真鍮ブラシである程度大きな錆を落とした後、CRC(防錆潤滑油)を少し吹き付けたスチールウールで磨く様にしています。
これにより細かい点錆を落としながら、錆があった箇所に防錆処理を施せるので一挙両得です。
ただし、磨いたところは必ずウエスで拭いてください。
また、アルミ部分は同じくCRCないしはスプレー式ワックスを吹き付けた後、しっかりウエスで磨けばしばらくの間は錆の発生を抑制できます。
今回は房総半島の海を走るライダーのために、バイクの洗車と錆落としのポイントを簡単にご紹介しました。
実際これ以外にもチェーンもよく錆びるポイントですが、そこはチェーンクリーナーでしっかり汚れを洗い流した後、ウエスでしっかりチェーンクリーナーをふき取り、最後にチェーンの接続部分(チェーンのコマとコマが重なっている所)を重点的にチェーンルブを吹き付けていきます(余分についたものはふき取りましょう)。
手間をかけないとバイクは朽ちていきます。
が、手間をかけて磨いてきれいにしたバイクは走りで・ルックスで乗り手に応えてくれます。
バイクと楽しい思い出を作ったら、そのバイクをねぎらってやるのもバイク乗りの義務!
みなさんもぜひとも、ご自身のバイクを大切になさってください。